平成28年賃金構造基本統計調査

平成29年2月22日に「平成28年賃金構造基本統計調査」が発表されました。

それによると弁護士の平均年収は759万円で、平成25年から続いていた弁護士の平均年収1,000万円を切る事態となりました。

なんて、マスコミなら都合のいい場所を切り取って報道されそうです。

私の見落としがなければ「賃金構造基本統計調査」に弁護士の区分が現れたのは平成17年からですので、平成17年から今までの数字を並べてみました。千円単位は四捨五入しました。

平成17年:1,177万円
平成18年:772万円
平成19年:851万円
平成20年:801万円
平成21年:680万円
平成22年:1,271万円
平成23年:659万円
平成24年:642万円
平成25年:1,189万円
平成26年:1,036万円
平成27年:1,095万円
平成28年:759万円




平成28年は759万円

こうしてみると平成23年、平成24年が低く、平成25年から平成27年が高かったことがわかります。

ひとことで言ってしまうと、統計的にバラツキがあるということです。

ですからこの数字をあまり気にする必要はないと思います。

ですが、今日はもっと深刻な話をしたいと思います。

弁護士ひとりあたり平均年収2,000万円を得るにはいったいいくらの市場規模が必要でしょうか?




いくらの市場規模が必要

2017年2月1日現在の弁護士数は39,010名です。もうすぐ4万人です。

仮に4万人の平均年収が2,000万円になるにはいくらの市場規模が必要でしょうか?

4万人×2千万円=8,000億円でしょうか?

違いますよね。家賃や事務員給与、弁護士会の会費などの固定費がかかりますよね。

ひとり事務所と大規模事務所では異なりますが、仮に弁護士ひとりあたりの固定費を月額50万円とすると、2千万円の収入を得るには2,600万円の売り上げが必要になってきます。

そうすると必要な市場規模は1兆400億円になります。

ところがここまでの計算は粗利が100%だったと仮定した場合です。

今は悩ましい広告宣伝費という変動費があります。

美容整形クリニックでは、広告宣伝費率は少ないところで売り上げの10%、20%~30%のクリニックが多く、50%というクリニックもあると言われています。

こんなことを書くと、弁護士と美容整形クリニックは違うだろう、とまた噛みつかれそうですが、仮に売り上げの20%を広告宣伝費が占めるとすると、2,600万円の粗利を得るのに3,250万円の売り上げが必要となります。

結局、4万人の弁護士が平均2,000万円の収入を得るには、1兆3千億円の市場規模が必要だということです。

1兆3千億円とは、ファミリーレストランの市場規模とほぼ同じです。

弁護士業界にそれだけの市場規模があるのでしょうか?

ちなみにあれだけ広告している美容整形クリニックでも2,500億円程度の市場規模です。