マーケティングの話なので、退屈に思われるかもしれませんが、弁護士業界はどうなんだろうなどと考えながら、最後まで読んでください。
そうすれば、あなたにとって何かヒントが現われるかもしれません。
マーケティングの神様と言われているコトラーは、競争上の4つの地位ごとに適した戦略があると言っています。
4つの地位とは、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つになります。
リーダーの戦略
リーダーとその業界でトップの企業を指します。
リーダーは、自社のシェアをアップさせるだけでなく、市場を拡大させる戦略がとられます。
なぜなら市場が拡大すれば、シェアトップのリーダーの売り上げも伸びるからです。
例えば、国内の自動車の半数はトヨタですので、自動車需要が喚起すれば半数はトヨタの自動車を買う訳で、結果的にトヨタ自動車の売り上げが伸びることとなります。
そういう意味でリーダー企業は、需要を喚起する戦略をとるべきだと言っています。
チャレンジャー
チャレンジャーは、2位や3位の企業となります。
チャレンジャーの戦略は差別化戦略となります。
コトラーは、あなたの企業が2位なのは、リーダー企業に対して「質・量」ともに劣っているからで、質・量ともに劣っているのに、リーダーと同じような戦略ではいつまで経っても勝てない、と言っています。
ですから、チャレンジャーのとるべき戦略は「差別化戦略」になります。
リーダーがやらないことをやるのです。
フォロワー
フォロワーは業界下位の企業です。
フォロワーの取るべき戦略は「模倣戦略」です。
リーダーやチャレンジャーがやっていて儲かることを真似るということです。
後発組ですので爆発的に売上を伸ばすことはできないかもしれませんが、小さなリスクで利益を確保することができます。
また後発組なので、商品開発などにも費用が掛からないため、販売価格を抑えることも出来ます。
ですから、フォロワーの価格が一番安く、次にチャレンジャー、そしてリーダー企業の製品が一番高い、ということが市場ではよく起こります。
リーダー企業は業界1位というブランド力がありますので、価格を無理に下げる必要はないのです。
ニッチャー
最後のニッチャーは、業界内のごく一部の分野でシェアの高い企業です。
例えば、カスタムカーの市場でトップの企業などです。
ニッチャーの戦略は、その隙間市場での名声を維持すること、ファンからの支持を維持し続ける「集中戦略」となります。
専門分野に特化していますので利益率もよくなります。
弁護士業界の話に戻すと
さて、話を弁護士業界に戻すとどうなるでしょう。
弁護士業界にリーダー企業は残念ながらありません。
なぜなら業界の需要を喚起させるような動きをしている事務所がないからです。
広告活動をしている事務所は多くありますが、業界の需要喚起のための広告はほとんどみかけません。
リーダー企業はありませんが、資金力で他の事務所を大きく上回る事務所はあります。
大量の広告費を投入し集客しいる事務所などです。
では、そのような事務所に対抗するにはどうしたらよいでしょうか。
マネしますか? そんなお金はありませんよね。
ではどうしますか?
答えは、差別化戦略しかないのです。もしくはニッチャーのような集中戦略になります。
しかし地方の先生の場合、分野を絞るのは事務所経営上難しいと思います。
ですから、資金力のある事務所がやらないことをやる「差別化戦略」をメインに考える必要があります。
昨日も話しましたが、幸い弁護士業界は質がものをいう分野がある業界です。
質に対してお金を払うお客に特化するという手もあります。
地域に特化するという手もあります。
資金力のある事務所がやらないことを考えて差別化する。これが攻めの基本的な考え方になります。
フォロワー的な方法もあります。
例えば資金力ある企業が資金力を大量に投入しB型肝炎訴訟のPRをしているとします。
広告費を投入してまで宣伝しているということは儲かるということです。
でもフォロワーはマネするといっても、同じような広告を出したらダメです。
じゃあどうするか? というと意外と簡単で「福島県民の方のB型肝炎訴訟は、福島〇〇法律事務所にお任せください」というように展開するのです。
つまり県民性に訴えるというやり方です。
ただし下記の3つのアンケートの結果を十分検討し、戦略を練ってください。
1.都会と地方の弁護士のどちらの方が優秀だと思いますか?
2.交通事故専門と大手の弁護士どっちが強い?
3.専門はダメで得意はOK?
この記事が参考になれば幸いです。
今後とも弁護士マーケティング研究会をよろしくお願いいたします。
弁護士費用に関するサイト「弁護士費用.com」もよろしくお願いします。